既卒として就職活動を進める際、多くの面接で聞かれるのが
卒業後はなぜ就職しなかったのですか?
という質問です。
この問いにどう答えるかによって、あなたの印象は大きく変わります。
単に過去を問うだけでなく、あなたの考え方や姿勢を探る意図が込められた質問だからです。
本記事では、既卒の面接で必ず聞かれる「なぜ就職しなかったのか」という質問意図を理解したうえで、好印象を与える答え方や具体例をご紹介します。
まずは企業側の視点から、なぜこの質問をするのかを解説していきます。
なぜ面接で「就職しなかった理由」を聞かれるのか
企業がこの質問をする背景には、いくつかの明確な目的があります。
単なる確認ではなく、「採用しても問題ない人材かどうか」を見極める大切なポイントになっています。
企業が知りたい“本当の意図”とは
企業はまず、「働く意欲があるかどうか」を見ています。
卒業後に就職しなかった理由から、その人が主体的に動ける人物かどうかを判断しようとします。
また、「既卒期間をどのように過ごしていたのか」も重要な判断材料です。
自己成長に努めていたのか、それとも何となく過ごしてしまっていたのかで評価は大きく変わります。
さらに、「今後、安定して働き続けてくれるかどうか」もチェックされています。
継続的に働く意思や、キャリアに対する真剣な姿勢が伝わるかどうかがポイントです。
回答を間違えるとどう評価されるのか
この質問に対して準備不足のまま答えてしまうと、ネガティブな印象を与えてしまうリスクがあります。
たとえば、「就活がうまくいかなかったから」や「なんとなく働かなかった」という回答は、主体性や意欲の欠如と見なされがちです。
また、言い訳や責任転嫁のように聞こえてしまうと、誠実さや信頼性にも疑問を持たれる可能性があります。
逆に、正直に答えつつも前向きな姿勢と学びを伝えられれば、評価を大きく高めることもできます。
【なぜ就職しなかったのか】既卒のNG回答例とその理由
既卒の面接における「なぜ就職しなかったのか」という質問には、答え方によってはマイナス評価につながる危険もあります。
ここでは、よくあるNG回答のパターンと、それがなぜ避けるべきなのかを解説します。
なんとなく就職しなかった
特に理由はなく、なんとなく就職しませんでした
という回答は、最も避けるべきパターンです。
このような答え方は、計画性や意欲のなさを強く印象づけてしまいます。
「仕事への意識が低いのではないか」と判断される原因となります。
就活がうまくいかなかったと正直に話す
就職活動をしたが、内定をもらえなかった
という回答も注意が必要です。
正直であることは大切ですが、それだけでは「結果が出なかった人」として評価が止まってしまいます。
大切なのは、「そこから何を学び、どう改善したか」をセットで伝えることです。
前向きな行動や、成長につながるエピソードがないと、マイナス評価につながりやすくなります。
病気・家族の事情など、やむを得ない事情があった場合
家族の介護をしていた
自身の病気で働けなかった
といったやむを得ない事情がある場合も、伝え方に注意が必要です。
事実を正直に伝えることは大切ですが、詳細に踏み込みすぎるとプライバシーや健康への懸念を抱かれることもあります。
また、「だから仕方がなかった」と受け身な姿勢で終わらせてしまうと、意欲が伝わりづらくなります。
大切なのは、「今は働ける状態にあること」「将来に向けた準備をしていたこと」など、前向きな情報を添えることです。
【なぜ就職しなかったのか】好印象を与える答え方のポイント
既卒に対する「なぜ就職しなかったのか」という質問には、前向きで論理的な回答を準備することで、評価をプラスに変えることができます。
ここでは、上記の好印象を与えるために意識すべき3つのポイントを解説します。
過去より「今」と「これから」に焦点を当てる
採用担当者が見ているのは、「過去に何をしてこなかったか」ではなく、「今どんな意欲を持っているか」「これからどう働きたいか」です。
そのため、過去の経緯は簡潔に述べたうえで、「今は就職に対して真剣に向き合っている」という姿勢を示すことが大切です。
たとえば、「当時は自分に合った仕事が分からず、就職活動を控えていましたが、今は明確な目標を持って貴社を志望しています」といった具合に、未来志向の言葉でまとめましょう。
既卒期間の過ごし方を具体的に伝える
就職しなかった期間をどう過ごしていたかは、必ず聞かれるポイントです。
この期間に何を学び、どう成長したかを具体的に伝えることで、主体性や意欲をアピールできます。
たとえば、「資格取得の勉強をしていた」「アルバイトを通じて接客スキルを磨いた」「社会人経験者からアドバイスをもらっていた」など、具体的な行動を示すと説得力が増します。
行動には理由があり、目的があったことをセットで伝えると、より印象が良くなります。
「なぜ今この会社なのか」をつなげて話す
就職しなかった理由だけで終わらせるのではなく、「だからこそ、今この会社で働きたい」という流れを作ることが重要です。
自己分析や既卒期間の経験を通じて、この企業にたどり着いたというストーリーがあると、話に一貫性が生まれます。
たとえば、「アルバイトを通じて人と関わる仕事のやりがいを感じ、この経験を活かして貴社で成長したいと思うようになりました」というように、志望動機までつなげましょう。
そうすることで、「この人は目的意識を持っている」「長く働いてくれそうだ」と好印象を与えることができます。
「なぜ就職しなかったのか」に対する回答例【パターン別】
ここでは、既卒に対する「なぜ就職しなかったのか」という質問の具体的な回答例を3つのケース別にご紹介します。
ご自身の状況に近いパターンを参考にして、面接で伝える内容を整理しておきましょう。
自己分析・準備に時間をかけたケース
大学卒業時には、自分にとってどのような仕事が向いているのかが明確でなく、就職を一度見送る決断をしました。
その後は自己分析を深めるため、キャリアセミナーへの参加や社会人の方々との面談を通して、自分の志向を整理しました。
現在は、御社の業務内容が自分の価値観と一致していると確信し、志望いたしました。
今後は御社で経験を積みながら、成長していきたいと考えております。
このように、「一度立ち止まって考えたこと」と「今の意欲」の両方を伝えることがポイントです。
家庭や健康などの事情があったケース
大学卒業後、家族の看病が必要となり、一定期間就職活動を控えておりました。
しかしその間も、働く意欲を失わないよう、資格取得の勉強や業界研究を継続しておりました。
現在は家庭の状況も落ち着き、長期的に勤務できる環境が整っております。
これまでの準備期間を活かし、御社で貢献していきたいと考えています。
やむを得ない事情があった場合でも、前向きな行動と「今働ける状態である」ことを明確に伝えることが大切です。
フリーター・アルバイトでスキルを磨いていたケース
卒業後は飲食店で接客業のアルバイトをしておりました。
現場ではチームワークやクレーム対応など、多くの実践的なスキルを身につけることができました。
その中で、お客様とのコミュニケーションの楽しさを実感し、サービス業への関心が高まりました。
現在はこれまでの経験を活かし、より責任のある立場で働きたいと考えており、御社の業務内容に強く惹かれて志望いたしました。
アルバイト経験は「働く力」を証明するきっかけにもなります。
その経験から得た気づきを志望動機へつなげることで、説得力が増します。
【なぜ就職しなかったのか】面接官に伝わる話し方のコツ
どれだけ良い内容を準備していても、話し方に説得力がなければ面接官には伝わりません。
この章では、既卒に対する「なぜ就職しなかったのか」という質問において、好印象を与えるための話し方のコツを3つに分けてご紹介します。
結論ファーストで話す
面接では、限られた時間の中で印象を残す必要があります。
そのため、結論から先に述べる「結論ファースト」の話し方が基本です。
たとえば、「就職しなかった理由は、自己分析に時間をかけたかったからです」と最初に要点を明確に伝えます。
そのあとで、「具体的には」「その結果」といった形で背景や補足情報を加えると、論理的でわかりやすい印象になります。
表情・声のトーンも意識する
話の内容だけでなく、表情や声のトーンも面接では評価対象になります。
自信がなさそうに見えたり、声が小さかったりすると、意欲や信頼性に疑問を持たれる可能性があります。
逆に、明るい表情や適度な抑揚をつけた話し方は、前向きな印象を与えます。
特に、「これから頑張りたい」「御社で働きたい」という想いを伝える場面では、熱意が伝わるよう意識しましょう。
自信を持って語るための練習法
自信を持って話すには、あらかじめ内容を整理し、繰り返し練習することが大切です。
一度文章化してみることで、伝えるべきポイントを明確にできます。
そのうえで、音読や模擬面接を行い、口に出して話す練習を重ねましょう。
なお、録音して自分の話し方を確認すると、話す速さや言い回しのクセにも気づけます。
練習を重ねることで、自然な表現で自分の考えを伝えられるようになります。
既卒の就活でよくある質問
ここからは、既卒の就活でよくある質問をまとめていきます。
- Q既卒で就職していない期間が長いと、やはり不利になりますか?
- A
期間の長さそのものよりも、「その期間をどう過ごしていたか」「今どれだけ意欲があるか」が重視されます。
就職していなかった理由を前向きに説明できるよう準備し、具体的な経験や学びを交えて話すことで、評価をプラスに変えることができます。
- Q嘘をつかないと印象が悪くなる気がするのですが、どうすればいいですか?
- A
嘘をつく必要はありません。
正直に伝えつつ、「その後どう立て直したか」「今はどれだけ前向きか」を補足することが大切です。
事実を受け止め、自分なりに努力してきた姿勢を伝えれば、むしろ誠実さが評価されます。
- Qアルバイト経験しかなくてもアピール材料になりますか?
- A
はい、十分アピール材料になります。
アルバイトで培ったスキルや姿勢(例:接客力、責任感、チームワークなど)は、企業にとっても重要な評価ポイントです。
その経験をどう志望動機や企業理解につなげるかがカギとなります。
まとめ
既卒者が面接で必ずと言っていいほど聞かれる「なぜ就職しなかったのか」という質問。
この問いにどう答えるかは、あなたの印象や評価を大きく左右します。
過去の出来事を正直に伝えることは大切ですが、それ以上に、前向きな姿勢と将来への意欲をどう表現するかが重要になります。
本記事で紹介したポイントを踏まえて、自分らしい答え方を準備しておきましょう。
「既卒だから不利」と思い込むのではなく、これまでの経験をどう語り、どう未来につなげるかが面接突破のカギです。
本記事を参考に、既卒でも自信を持って面接に臨みましょう。